日. 1月 11th, 2026

夜になると、だいたいダメだった。

昼間は、まだ大丈夫なのに。
洗濯をして、買い物をして、
「今日も一日終わったな」と思えるくらいには、平気なのに。

布団に入って、
部屋の明かりを消して、
音が全部、静かになると、
急に心だけが、騒ぎ出す。

時計の針の音が、やけに大きく感じて、
自分の呼吸のリズムまで、気になってくる。

そんなとき、
分かっているのに、
やらなくていいって分かっているのに、
私はスマホを手に取ってしまう。

画面を点けて、
SNSのアプリを開く。

そこに並んでいるのは、
誰かの「できた報告」だった。

副業で成果が出た話。
勉強を始めて、すぐ結果が出た話。
「行動したら人生変わりました」みたいな言葉。

キラキラした言葉が、
暗い部屋の中で、やけにまぶしく見えた。

そのたびに、
胸の奥が、ぎゅっと縮む。

――同じ時間を生きてるはずなのに。
――どうして私は、こんなに何もできてないんだろう。

比べないって、何度も決めた。
落ち込まないって、心に言い聞かせた。

それなのに、
ちゃんと比べてしまうし、
ちゃんと落ち込む。

スマホを閉じても、
もう遅かった。

画面に映った言葉は、
そのまま頭の中に残って、
何度も再生される。

あの人は前に進んでいる。
私は、ずっと足踏みしている。

「向いてないのかな」
「やっぱり無理なのかな」

そんな言葉が、
心の中で、静かに、でもしつこく繰り返される。

正直、夜は弱かった。

何もできなかった一日を、
頭の中でなぞり直して、
「今日もダメだったな」って、
自分に小さなバツをつける。

泣くほどじゃない。
でも、元気でもない。

ただ、
静かに、沈んでいく夜。

それでも、
そんな夜に、私がしていたことがあった。

大きなことじゃない。
前向きな行動でも、立派な考え方でもない。

ただ、
「今日はダメだったな」って、
そのまま、認めてあげること。

無理に元気になろうとしない。
前向きな言葉を探さない。
できない自分を、無理に変えようとしない。

「今日は比べちゃったな」
「落ち込んだな」

それだけを、
心の中で、そっと言う。

それだけで、
少しだけ、呼吸が楽になる。

完璧じゃない。
何もできなかった日かもしれない。

それでも、
今日もちゃんと、生きていた。

SNSを閉じて、
スマホを裏返して、
布団の上に置く。

目を閉じると、
さっきより、少しだけ静かだった。

明日、いきなり変われなくてもいい。
また比べてしまうかもしれない。

それでも、
今日の夜をちゃんと越えられたなら、
それだけで、十分だった。

比べて、落ち込んだ夜。
何かを成し遂げたわけじゃない。

でも私は、
自分をこれ以上、責めなかった。

それがきっと、
次の日、また一歩進めるための、
小さな回復だったんだと思う。

投稿者 minatsu

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です