日. 1月 11th, 2026

正直、
何度も思った。

――もう、やめたほうが楽なんじゃないか。

パソコンを閉じて、
明かりを落とした部屋で、天井を見つめながら。
その考えは、
いつも疲れた夜に、そっとやってきた。

副業をやめたら、
この焦りも、不安も、
誰かと比べてしまう気持ちも、
全部なくなる気がした。

何もしなければ、
落ち込む理由も減る。
期待しなければ、
裏切られることもない。

そう考えると、
「やめる」という選択は、
とても優しく見えた。

――向いてないかも。
――結果も出てない。
――こんなに悩むなら、やめたほうがいいよね。

頭の中では、
やめたい理由が、
いくらでも整然と並んだ。

でもその一方で、
心の奥の、
もっと静かな場所から、
小さな声が聞こえていた。

ここでやめたら、
また同じ場所に戻るんじゃないか。

何も変えられなかった自分。
考えるだけで、結局動けなかった自分。

あの頃の自分を思い出すと、
胸の奥が、ひやっとした。

続けた先に、
何が待っているかは分からない。

でも、
やめた先にある景色は、
なぜか、はっきり想像できてしまった。

同じ朝。
同じ毎日。
「やっぱりできなかったな」って、
心の中でつぶやく自分。

それが、
どうしようもなく怖かった。

だから、
余計に揺れた。

やめたい。
でも、続けたい。

どっちが正解かなんて、分からない。
どっちを選んでも、
きっと不安は残る。

夜になると、
「明日から、もうやめようかな」って思って、
朝になると、
「もう少しだけ、やってみようかな」って思う。

カーテンの隙間から朝の光が差すたびに、
昨夜の決意は、
少しだけ形を変えた。

そんな日を、
何日も、何日も繰り返していた。

でも、ある時。
洗面所で顔を洗いながら、
ふと、気づいた。

私は、
「やめたい」と「続けたい」で
揺れてるんじゃない。

「傷つきたくない自分」と、
「変わりたい自分」の間で、
揺れているんだ。

傷つきたくないから、
やめたい。
これ以上、自分にガッカリしたくないから。

変わりたいから、
続けたい。
今のままの自分で終わりたくないから。

どっちも、
嘘じゃない。
どっちも、
本当の私だった。

だから、
無理にどちらかを消すのは、やめた。

「続ける」と決めた日も、
覚悟なんてなかった。

ただ、
「今日は、やめない」
それだけだった。

未来のことも、
成功のことも、
考えなかった。

今日一日、
手放さない。
それだけ。

大きな決断じゃない。
誰にも気づかれない、
小さな選択。

でもその積み重ねが、
気づけば、
私をここまで連れてきていた。

やめたいと思った日があったから、
続けている今がある。

揺れながらでもいい。
迷いながらでもいい。

その間に立ち続けていた私は、
もう、
「何もしていない人」じゃなかった。

静かだけど、
確かに。
私は、前に立っていた。

投稿者 minatsu

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