日. 1月 11th, 2026

何度も、
「やめよう」と思った。

軽い気持ちじゃない。
その場しのぎでもない。
本気で、
何度も、
真剣に考えた。

机の上に置いたままのノート。
開きっぱなしのパソコン。
画面に映る文字を、
もう読みたくないと思いながら、
ぼんやり眺めていた夜もあった。

もうこれ以上、
不安にならなくていい。
誰かと比べなくていい。
できない自分に、
何度もがっかりしなくていい。

そう思えば思うほど、
「やめる理由」は、
十分すぎるほど揃っていた。

それなのに、
私は完全にはやめなかった。

理由は、
「まだできるかもしれない」
なんて、
前向きな希望じゃない。

むしろ逆だった。

「できなかった自分」を、
もう一度、
真正面から味わうのが怖かった。

やめた瞬間、
すべてが終わってしまう気がした。

ああ、やっぱり無理だったね、って。
失敗したね、って。
自分で自分に、
はっきり言い切ってしまうみたいで。

挑戦した途中でやめるのと、
最初から何も変えずに終わるのは、
似ているようで、
まったく違う。

私は、
「何もしなかった人」には
戻りたくなかった。

ほんの少しでも、
怖がりながらでも、
動いた自分を、
なかったことにしたくなかった。

机に向かった日。
応募ボタンを押した日。
Zoomで声が震えた日。

全部、
ちゃんとここにあった。

毎日じゃなくていい。
完璧じゃなくていい。

それでも、
完全に手放すことだけは、
どうしてもできなかった。

そして、
やめなかった理由は、
もうひとつあった。

それは、
「やめない私」が、
思っていたより、
弱くなかったこと。

泣いた日もあった。
布団の中で、
天井を見つめながら、
何もできない自分を責めた夜もあった。

自信なんて、
ほとんどなかった。

それでも、
次の日に、
すべてを投げ出すことはなかった。

パソコンを開けなかった日があっても、
「もう二度とやらない」とは、
言わなかった。

それって、
もしかしたら、
すごいことなんじゃないかって。

ある日、
ふと、
そんなふうに思えた。

続けている自分を、
誇れるほどじゃない。
胸を張れるほどでもない。

でも、
責めなくていい気がした。

やめなかった理由は、
強さじゃなくて、
しつこさだったかもしれない。

才能でも、
自信でもない。

ただ、
諦めきれなかっただけ。

それでも、
それで十分だった。

完全にやめなかった私を、
今は、
ちゃんと認めてあげたい。

何も変わっていないようで、
一番大事なところは、
確実に変わっていた。

「やめなかった」という事実だけが、
静かに、
ここに残っていた。

投稿者 minatsu

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