正直に言えば、
落ち込んでいた理由は、
周りがすごく見えたからじゃない。
本当に苦しかったのは、
何も言えない自分だった。
誰かが前に進んでいる話を聞くと、
心から「すごいな」と思えた。
その気持ちは嘘じゃない。
でも、そのあと必ず、
自分の現在地を突きつけられる。
あの人は、ちゃんと動いている。
私は、まだ同じ場所にいる。
そう思うたびに、
胸の奥で小さくため息が漏れた。
誰にも聞こえない、
でも確かにそこにある音だった。
本当は、
比べる資格なんてないと思っていた。
だって私は、
まだ何も始めていない。
何も形にしていない。
だからこそ、余計に、
言葉にできなかった。
「私も変わりたい」
「今のままは嫌だ」
そんな気持ちを持っていること自体、
なぜか恥ずかしかった。
口に出した瞬間、
覚悟が足りないことが
ばれてしまいそうで。
周りと比べて落ち込んでいたのは、
自分が劣っていると思ったからじゃない。
ちゃんとやりたい気持ちがあるのに、
それを表に出せない自分が、
一番、もどかしかった。
声に出せない。
動き出せていない。
それなのに、
心の中だけは、
ずっと先を見ていた。
今なら、わかる。
あの頃の私は、
まだ自信がなかっただけだ。
何も言えなかったのは、
諦めていたからじゃない。
ちゃんと考えていたからこそ、
軽く口にできなかった。
簡単に言えないほど、
本気だっただけ。
そう思えるようになってから、
私は少しだけ、
あの頃の自分を許せた。
声に出せなかった時間も、
立ち止まっていた時間も、
全部、無駄じゃなかった。
それは、
私が本気で生きようとしていた証だった。