土. 1月 10th, 2026

その日は、特別な一日じゃなかった。
何かが起きたわけでも、
誰かに背中を押されたわけでもない。

いつも通りの朝。
いつも通りの時間。
同じ道を歩いて、
同じように一日が過ぎていく。

ただ、その途中で、
私はふと立ち止まった。

このまま同じ毎日を続けたら、
来年の今も、
きっと同じことを考えている。

そう思った瞬間、
胸の奥が、少しだけざわっとした。
不安とも違う、
焦りとも違う、
でも確かに、無視できない感覚だった。

私は何者でもない。
誇れる実績もないし、
自信を持って語れるものもない。

それでも、
「変わりたい」
そんな言葉が、心に浮かんだ。

完璧になりたいわけじゃない。
誰かみたいになりたいわけでもない。

ただ、
今の自分を嫌いなまま、
時間だけが過ぎていくのが、
どうしても嫌だった。

変わりたい、という気持ちは、
大きな決意なんかじゃなかった。

「このままじゃ、嫌だな」

それくらいの、
小さくて、弱い本音。

でも、その日は違った。
その本音を、
初めて無視しなかった。

何者でもない。
だからこそ、
失うものも、実は少ない。

そう思えたとき、
肩に乗っていた何かが、
少しだけ軽くなった。

変わりたいと思えたこと自体が、
もう一歩だった。

まだ何も始まっていない。
何かを成し遂げたわけでもない。

それでも、
私はもう、
同じ場所にはいなかった。

心だけが、
ほんの少し前に進んだ。
それだけで十分だと、
そのとき初めて思えた。

投稿者 minatsu

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