「変わりたい」
そう思ったあと、
次に浮かんだのは、とても現実的な疑問だった。
副業って、
そもそも何があるんだろう。
やると決めたわけじゃない。
誰かに宣言する勇気もない。
申し込む自信なんて、もちろんない。
ただ、
何も知らないままでいることが、
急に、耐えられなくなった。
だから私は、
誰にも言わず、
ひとりでスマホを開いた。
検索窓に打ち込んだのは、
「副業 初心者」。
画面に並ぶ記事を、
ひとつずつ、ゆっくり読んでいく。
ライティング。
データ入力。
SNS運用。
動画編集。
オンライン秘書。
名前だけは聞いたことがある。
でも、実際に何をする仕事なのか、
ちゃんとは知らなかった。
「未経験OK」
そう書いてあるのに、
説明を読むと、急に難しそうに見えてくる。
ページを閉じて、
また開いて。
少し読んでは、不安になって、
それでも、もう一度戻る。
今までなら、
最初から見ないふりをしていた世界。
その場所を、
その日初めて、ちゃんと見ていた。
向いているかどうかは分からない。
できるかどうかも、分からない。
それでも、
何も知らない自分より、
少しだけ知っている自分の方がいい。
そう思えたことが、
なぜか嬉しかった。
調べていくうちに、
ひとつ、気づいたことがある。
副業の話は、
いきなり成功した人のものばかりじゃなかった。
最初はみんな、
不安で、
分からなくて、
迷っていた。
その事実を知っただけで、
胸の奥が、少しゆるんだ。
「私だけじゃないんだ」
その頃の私は、
まだ何も始めていない。
成果も、変化も、目に見えるものはない。
それでも、
世界は、確かに広がり始めていた。
調べるだけ。
検索するだけ。
誰にも言えない、
小さすぎる一歩。
でも、
いきなり行動できなくてもいい。
まずは、知ることからでいい。
そう思えたことが、
私にとっての、
確かな前進だった。