在宅ワークについて調べていく中で、
どうしても避けて通れない存在があった。
パソコン。
画面の向こうにあるのは、
仕事そのものだけじゃない。
「できる人たちの世界」だった。
正直に言えば、
私はパソコンが苦手だった。
使えないわけじゃない。
電源も入れられるし、
文字だって打てる。
それでも、
「得意です」と胸を張って言えるほど、
自信はなかった。
仕事で当たり前のように使ってきた人たちと、
同じ土俵に立つ。
そう想像しただけで、
胸の奥が、すっと冷たくなった。
知らない言葉が出てくるたびに、
心の中で、
ブレーキ音が鳴る。
もし間違えたらどうしよう。
迷惑をかけたらどうしよう。
分からないって言ったら、
がっかりされるだろうか。
一番怖かったのは、
できないことそのものじゃない。
「できない自分が、知られてしまうこと」だった。
初心者、という言葉を使うのも、
どこか申し訳ない気がしていた。
最初から、
期待されない存在として見られることが、
怖かった。
でも同時に、
私は気づいていた。
まだ何も始めていないのに、
もう諦めようとしている自分に。
やる前から、
「私には無理」と決めつけて、
傷つかない場所に、
戻ろうとしていた。
それは、
自分を守っているようで、
実は、自分を信じていないだけなのかもしれない。
そう思った瞬間、
胸が、少しだけ痛くなった。
パソコンが怖かったわけじゃない。
新しいことを前にしたときの、
自分の弱さが怖かった。
でも今なら、
ひとつだけ、分かる。
怖い、と感じるのは、
本気で考えている証拠だ。
何も感じなければ、
最初から興味すら持たない。
私はちゃんと、
前に進もうとしていた。
だから、
この怖さを理由に、
すべてをやめてしまうのは、
違う気がした。
できないところから、始めてもいい。
分からないって、言ってもいい。
そう思えた瞬間、
心の中の重たいものが、
少しだけ、軽くなった。
怖さは消えていない。
それでも、
私はまだ、ここにいる。
それだけで、
十分だった。