土. 1月 10th, 2026

カーテンの隙間から、
白っぽい朝の光が差し込んでいた。

目覚ましが鳴る前に目が覚めて、
スマホを取る。
無意識に、いつものアプリを開きかけて、
一瞬だけ、指が止まった。

昨夜、
そっと閉じた画面。

あのときの胸の重さを、
身体がまだ覚えている。

「今日は見ないでおこう」

そう決めたはずなのに、
なぜか気になってしまう。

誰かがまた前に進んでいたらどうしよう。
自分だけ、取り残されていたらどうしよう。

そんな不安が、
朝の静けさの中で、
ゆっくり膨らんでいく。

結局、
私はまた画面を開いた。

昨夜と同じ場所。
同じ投稿欄。
でも、少しだけ、見え方が違った。

「昨日は手が止まってしまいました」
「全然理解できなくて落ち込みました」
「今日は一からやり直します」

できる人だと思っていた名前が、
弱音を書いている。

完璧に見えた人が、
迷っている。

その事実に、
胸の奥が、少しだけ緩んだ。

ああ、
見せていなかっただけなんだ。

進んでいるように見えた人たちも、
止まりながら、
悩みながら、
それでも続けている。

投稿の裏側には、
たぶん、
私と同じ夜がある。

分からなくて、
自信がなくて、
それでも画面を閉じて、
また開いて。

私は、
自分だけが遅れていると
思い込んでいた。

でも実際は、
みんな、
違う場所で立ち止まっているだけだった。

パソコンを開く。
昨日と同じ課題。

相変わらず、
すぐには分からない。

それでも今日は、
閉じなかった。

全部理解しようとしない。
全部終わらせようともしない。

ただ、
一行だけ読む。
一つだけ、調べる。

それだけでいい、と
自分に言い聞かせる。

朝の光が、
キーボードの上に落ちる。

小さな音を立てて、
キーを一つ、押す。

できる人たちのスピードには、
まだ追いつけない。

でも、
昨日の自分より、
ほんの少しだけ前にいる。

そのことに、
気づけた朝だった。

画面は、
もう怖くなかった。

まだ不安はある。
まだ分からない。

それでも私は、
今日も、
この続きを選んだ。

――そして私は、
「できない私のまま進む」という
新しいやり方を、
少しずつ覚えていく。

投稿者 minatsu

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