日. 1月 11th, 2026

その日は、朝からずっと落ち着かなかった。

パソコンを開いては閉じ、
閉じては、また開く。

画面の向こうには、数えきれないほどの動画が並んでいた。
タイトルはどれも立派で、どれも必要そうで、どれも今の自分には遠く感じる。

「ここから始めてください」
そんな声が聞こえた気がして、画面を見つめる。

けれど、どこを見ても“入口”が分からなかった。

何から手を付けていいのか、本当に分からなかった。

動画一覧をスクロールするたびに、再生時間の数字が目に入る。
30分。
45分。
1時間。

職業別、応用編、実践編。
どれも避けて通れない気がして、どれも今すぐ必要な気がしてくる。

「これ、全部やるの……?」

思わず、小さく声が漏れた。

時間が足りない、というより、人生が足りないような気がした。
何日あっても足りない。
何週間あっても、終わらない。

その圧に、胸の奥がじわじわと締め付けられていく。

私は椅子に深く腰を下ろし、背もたれに体を預けた。
天井を見上げながら、何度も同じ考えが浮かぶ。

「また、間違えたのかな」

やる気はある。
変わりたい気持ちもある。

それなのに、動けない。

やろうとした瞬間に情報に飲み込まれて、迷子になる。
この感覚は、何度も味わってきた。

期待して、踏み出して、分からなくなって、止まる。
心が、静かに折れていく感覚。

そんな日に、オンライン面談の時間がやってきた。

正直、話せる自信はなかった。
何が分からないのかさえ、うまく言葉にできないから。

画面に相手の顔が映り、穏やかな声で話が始まった。

「今、どこで止まっていますか?」

その問いに、言葉が一瞬詰まる。
でも、私は正直に話した。

動画が多すぎること。
職業別のコンテンツが、どれも必要に見えてしまうこと。
全部やらなきゃいけない気がして、結局何も進めていないこと。

話しているうちに、胸の奥が少し熱くなった。

すると、相手は落ち着いた口調で言った。

「大丈夫ですよ。全部やらなくていいです」

その一言は、思っていた以上に深く胸に落ちた。

画面共有で映し出されたのは、一枚のチェックリストだった。
複雑なものではなく、驚くほどシンプルな道筋。

「今日は、ここまでで十分です」
「迷ったら、ここに戻ってきてください」

その言葉と一緒に示された道は、はっきりと一本に見えた。

今まで私は、広大な地図を渡されて、どこへ行けばいいか分からないまま立ち尽くしていた。
でもこの日は違った。

「ここを歩けばいい」
そう言ってもらえた気がした。

面談が終わる頃、不安が消えたわけではなかった。
自信が急に湧いたわけでもない。

それでも、心の中には確かな感覚が残っていた。

「進めるかもしれない」

面談後、私は自分のロードマップを作った。
いつまでに、何をするか。
どこまでできたら、次へ進むか。

完璧じゃない。
変更していい前提の、柔らかいロードマップ。

それでも、それは間違いなく「私の道」だった。

副業として、進めていく。
逃げるためではなく、挑戦として。

焦らない。
無理をしない。
でも、やめない。

それだけを、静かに決めた。

動画の量は、相変わらず多い。
職業別のコンテンツも、今見ればまだ途方もない。

それでも、心はもう折れそうじゃなかった。

なぜなら、私は迷子ではなくなったから。

チェックリストがある。
ロードマップがある。
戻る場所が、はっきりしている。

そして何より、「一人じゃない」と感じられた日だった。

この日、私は決めた。

副業として、この道を進む。
遅れてもいい。
立ち止まってもいい。

それでも、前へ進み続ける。

このロードマップの先に、どんな景色が待っているのかは分からない。
でも、進むと決めた。

それだけで、この日は、十分すぎるほど意味のある一日になった。

投稿者 minatsu

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