もう、何回思ったか分からない。
「これ、私、向いてないんじゃない?」って。
一回や二回じゃない。
ほとんど毎日、
当たり前みたいに、頭に浮かんできた。
少しつまずくだけで、
「あ、やっぱり才能ないんだ」
ほんの少し理解が遅れただけで、
「私には無理な世界だったんだ」
そんなふうに、
心の中で、何度も何度も
自分にダメ出しをしていた。
画面の向こうにいる、
名前も顔も知らない「他の人たち」が、
やけに遠く感じた。
みんな、
サクサク進んでいる気がした。
理解も早くて、行動も早くて、
迷いなんてなさそうで。
同じ「初心者」って書いてあるのに、
どうして、こんなに差があるんだろう。
向いてる人は、最初から向いてる。
できる人は、やっぱりできる。
私は、
頑張っても追いつけない側なんじゃないか。
そんな考えが、
静かに、でも確実に心を占領していった。
気づけば、
副業そのものよりも、
「できない自分」と向き合うことのほうが、
一番しんどくなっていた。
パソコンの前に座ると、
勉強より先に、不安がやってくる。
――今日も分からなかったら、どうしよう。
――また、落ち込むんじゃないかな。
画面を開く前から、
もう疲れている自分がいた。
それでも、不思議だった。
こんなに「向いてないかも」って思っているのに、
「やめよう」という決断だけは、
どうしても、できなかった。
向いてないかもしれない。
才能がないかもしれない。
それなのに、
「もう二度とやらない」とは、言えなかった。
たぶんそれは、
このまま何もしない自分に戻るのが、
少し怖かったから。
何も挑戦せず、
何も変わらず、
「やっぱり私には無理だった」と
心のどこかで言い訳しながら生きる自分に、
戻りたくなかった。
向いてないかもしれない。
でも、
何もしなかった自分より、
悩みながらでも進んでいる今のほうが、
ほんの少しだけ、好きだった。
完璧じゃない。
自信もない。
胸を張って「できてる」なんて、とても言えない。
それでも、
「向いてないかも」って思いながら、
それでも続けている私も、
案外、悪くないんじゃないか。
そんな気持ちが、
心の奥に、静かに残っていた。
向いてないかも、と何度も思った。
でもそれは、
「やめたい」という気持ちじゃなくて、
「ちゃんと向き合っている証拠」だったのかもしれない。
迷っている時間。
立ち止まっているように見える時間。
それも全部、
無駄じゃない。
今はまだ、
そう信じたいと思っている。