正直に言うと、
一番しんどかったのは、「結果が出ないこと」だった。
頑張っていないわけじゃない。
夜遅く、キッチンの電気だけを点けて、
冷めたお茶を横に置きながら、画面を眺める日もあった。
調べて、読んで、考えて。
分からない言葉は何度も検索して、
同じページを行ったり来たりして。
できる範囲で、
ちゃんと行動もしていた。
それなのに、
朝になっても、何も変わっていない。
通帳の数字は同じまま。
「できるようになった」と胸を張れるほどの成果もない。
ただ、
日付だけが一つずつ進んでいく。
カレンダーを見て、
思わずため息が出る。
――こんなに時間かけて、意味あるのかな。
――みんなは、もっと早く結果を出してるのに。
――私だけ、取り残されてない?
そんな声が、
頭の中でぐるぐる回り始める。
焦ると、
頭が一気にうるさくなる。
今日やったことより、
できなかったことばかりが浮かんでくる。
ほんの一歩、進んだはずなのに、
その一歩は、
「まだ足りない」の影に隠れて見えなくなる。
結果が出ない=失敗。
いつの間にか、
そんな式が、心の中で当たり前になっていた。
でも、ある日。
洗濯物を干しながら、
ふと、手が止まった。
私がこんなに焦っているのは、
「何も得ていない」って、
思い込んでいるからじゃないだろうか。
本当に、
何も変わっていなかったんだろうか。
副業という言葉すら、
よく分かっていなかった頃の私と、
今の私は、
同じ場所に立っているんだろうか。
怖いと思いながら、
それでも調べた。
応募ボタンの前で立ち止まりながら、
それでも押した。
説明を聞いて、
うまく話せなくて、
落ち込んで。
それでも、
やめなかった。
それって、
結果じゃないんだろうか。
お金じゃない。
数字でもない。
でも確実に、
前の私にはできなかったこと。
そう思った瞬間、
胸の奥で、何かがほどけた。
焦りが、
全部消えたわけじゃない。
でも、
形が少し変わった。
「結果が出ていない」じゃなくて、
「結果が、まだ見える形になっていないだけ」。
そう言い換えたら、
呼吸が、少し深くなった。
焦りを、
なくそうとするのは、やめた。
焦るってことは、
本気だから。
真剣だから。
だから私は、
焦っている自分を責める代わりに、
心の中で、こう声をかけるようになった。
――それだけ、ちゃんと向き合ってるんだね。
結果が出るまで、
不安は、きっと消えない。
この先も、
何度も立ち止まるだろう。
それでも、
焦りと一緒に進むことはできる。
立ち止まりながらでもいい。
遠回りでもいい。
結果が出ない今も、
私は、ちゃんと「途中」にいる。
そう思えた日、
夜の空気が、
少しだけやさしく感じられた。