正直に言うと、
不安は今もある。
副業を始めたからといって、
急に胸の奥が軽くなったわけじゃない。
「これで大丈夫」なんて、
まだ、とても言えなかった。
夜、布団に入ると、
天井を見つめながら考えてしまう。
このまま続けて、
本当に辿り着けるんだろうか。
途中で力尽きたりしないだろうか。
未来のことを考えるほど、
胸の奥に、
冷たい影みたいなものが広がる夜もある。
でも、
そんな夜を何度も越えてきて、
ひとつだけ、
はっきり分かったことがあった。
不安が消えてからじゃなくても、
進んでいい。
前の私は、
ずっと待っていた。
もう少し、自信がついたら。
もう少し、分かるようになったら。
もう少し、安心できたら。
そうやって、
「始める理由」じゃなくて、
「始めない理由」を
丁寧に並べていた。
準備だけが増えて、
時間だけが過ぎていった。
今は、違う。
不安があっても、
立ち止まらなくていい。
怖さを抱えたままでも、
一歩は出せる。
それを、
頭じゃなくて、
体で知った。
ある日、
机に向かって、
ノートを開いた。
白いページに、
大きな計画を書くのはやめた。
代わりに、
今の私に合った、
小さな地図を描いた。
それは、
成功するための地図じゃない。
不安になりすぎないための地図。
私のロードマップは、
驚くほど、シンプルだった。
まずは、
今の生活を壊さないこと。
朝、ちゃんと起きて、
仕事に行って、
夜、ちゃんと眠る。
無理をしない。
体も心も、
後回しにしない。
次に、
続けられるペースを守ること。
毎日じゃなくていい。
できない日があっても、
自分を責めない。
そして、
できることを、
ひとつずつ増やすこと。
一気に変わらなくていい。
昨日より、
ほんの少し前に進めたら、それでいい。
比べる相手は、
他の誰かじゃない。
昨日の自分だけ。
ページの端に、
もうひとつ、
小さく書き足した。
「いつか辿り着きたい場所」
それは、
ゆとりある安定した収入を得ながら、
やりたいことを、
自分で選べる自分でいること。
今の私は、
まだそこにはいない。
正直、
そんな生活が、
本当に手に入るのかも分からない。
でも、
「こうなりたい」と思う気持ちだけは、
はっきりしていた。
たくさん稼ぎたいわけじゃない。
誰かに勝ちたいわけでもない。
ただ、
お金の不安に振り回されすぎず、
無理な働き方をしなくてもよくて、
「これはやらない」
「これはやりたい」
そうやって、
選べる余白を持っていたい。
だから私は、
この夢から遠ざかる道は選ばない。
たとえ、
早く結果が出そうに見えても、
今の自分を削るやり方なら、選ばない。
期限も、
金額の目標も、
今は決めていない。
それも、
今の私にとっては、
大切な選択だった。
このロードマップを持ったからといって、
未来が急に明るくなったわけじゃない。
相変わらず、
先は見えない。
不安も、ちゃんと隣にいる。
でも、
暗闇の中でも、
進む方向だけは、
分かるようになった。
不安は、
これからも消えないかもしれない。
それでも私は、
不安と一緒に進める。
消そうとしなくていい。
追い払わなくていい。
隣に置いたまま、
歩いていけばいい。
そう思えた夜、
窓の外の街灯が、
少しだけ、
やさしく見えた。
私はまだ途中だ。
それでも、
ちゃんと前を向いている。
それだけで、
今は、十分だった。